過去参加者インタビュー記事

高校生時代の研究経験が、
大学生活を充実させる。
サイエンスキャッスル研究費
アサヒ飲料賞卒業生の今。

2021年のアサヒ飲料賞に採択された、愛媛大学附属高校の2人にアサヒ飲料研究所までお越しいただきました。
今年学部2年生となっている2人に、当時の研究活動や今も生きている経験などをお聞きしました。

プロフィール

  • 二宮 妃奈多 さん(愛媛大学理学部)
  • 森 美空 さん(愛媛大学教育学部)

愛媛大学附属高校卒業。高校在学時は理科部に所属しプラガールズとして研究活動を行う。サイエンスキャッスル研究費アサヒ飲料賞に採択された際の研究テーマは、海洋性細菌による生分解性プラスチックの生産。

今日は愛媛県からはるばる、アサヒ飲料の研究所にようこそいらっしゃいました。

二宮さん:私たちが採択された年はコロナの影響で、成果発表会もすべてオンラインだったんです。今日は初めてアサヒ飲料さんの研究所に来ることができて嬉しいです!

私たちも、ずっと画面越しでしかお会いできていなかったので、実際にお会いできて本当に嬉しいです。さっそくですが今日は、高校時代の研究活動を思い出しながら、お話をお聞きしたいと思います。みなさんは高校時代、理科部に所属し「プラガールズ」という研究グループをつくって活動をされていました。

二宮さん:私たちにとっては、初めての研究活動だったんです。高校にはもともと課題研究という授業があって全員が授業の中で研究をするのですが、私は授業外でも自分の研究を進めてみたくて、理科部の顧問だった先生に相談したのがきっかけです。そのときちょうど、アサヒ飲料賞の応募期間で、研究の「け」の字もわからない状態で、研究の計画書をかきました。何度も何度も書き直して、ギリギリでなんとか書き上げたんです。採択されてとても嬉しかったことを覚えています。

実際の研究活動はどうでしたか?

二宮さん:授業のあとの放課後はずっと夜まで研究をしていました。午前で学校が終わる日も、午後は学校に残って研究。培養している菌は放置できないし、帰ったら資料をまとめなきゃで…青春のほとんどが研究でした。辛いときもありましたが、その頃から研究者になりたいと思っていたので、全然後悔はしてないです。めっちゃ頑張ったなと、やりきったなという気持ちです。

森さん:100本の試験管に培地をつくって、オートクレーブかけたら真っ黒になったことあったよね。クリスマスに100本の試験管をみんなで洗ったよね。

二宮さん:ショックだったよね。クリスマスになると思い出すよね。

それは大変でした。原因はなんだったのですか?

森さん:先生に相談して、みんなで原因を考えました。その結果、培地に入っているグルコースが悪さをしていて、次にスクロースを試したらうまくいったんです。失敗したあとに、その原因をああでもない、こうでもないとみんなで考えて、その結果新しい発見につながったりすると嬉しいですね。これ以外にもたくさんの失敗をしましたが、メンバーがいたから頑張れました。

二宮さん:世の中に貢献できるほどの結果を出せているわけではないのですが、自分にとっては研究をしていた時間はとても充実していました。普通の高校生活では味わえない感動がありました。また、研究活動を通して常に「なぜだろう」を考える癖がつきました。例えばアルバイトをしているときも、何かうまくいかないことがあるときに一旦考えてみることで、うまくいくことがあります。

アサヒ飲料賞では、助成金とアサヒ飲料の研究員によるアドバイスをうけられるのですが、これは活用できましたか?

森さん:お金もふくめてすべてありがたかったんですけど、とくに、研究アドバイザーの竹内さんの学生時代の研究内容と、私達が取り組んでいる内容が近いという幸運もあって、助言は本当にありがたかったです。普段本物の研究をなさっている方からの助言には説得力がありました。自分たちでは浮かばないアイデアもたくさんもらいました。

二宮さん:顧問の先生からもいろいろとアドバイスはいただけるのですが、やはり違った視点が学べるという点がありがたかったですね。実験が思いつかないときに、竹内さんのアドバイスで一気に研究が進んだこともありましたし、コロナ禍で外部との連携ができないという制約のなかでうまく研究を進める方法を一緒に探してくださいました。

森さん:作った生分解性プラスチックの性質を調べる方法について悩んでいたときに、まずは納豆菌が食べるかどうか確認してみたらどう?のように、すぐ学校内で試せるアイデアをもらえたので、実験が進みました。

二宮さん:毎月1回、竹内さんに報告するために研究結果をまとめるのですが、その区切りがモチベーションになっていました。竹内さんに「すごい頑張ったね」といってもらえるように頑張りました!

今はお二人とも高校時代の実験からは離れていますが、今も生きている高校時代の経験やそれを活かして、今後やっていきたいことはありますか?

森さん:打たれ強くなったというのもありますし、また、今、教育学部で教師を目指しているので、次は、自分が研究をする側ではなくて、子どもたちのやりたいことを支援する側になりたいなと感じています。研究があったからこそ、理科などを教えるほうに興味がさらに湧きました。

二宮さん:私は、大学を卒業したら研究職に就きたいということを見越して、高校では研究をしていたので、その方向性はいまも変わらないですね。来年、研究室に配属されるので、プラガールズの研究の続きをやるか、大学で学んだ他の分野をやるか、まだ考えているところです。高校で研究をしていて、専門性に長けている人、竹内さんもそうですけど、そういう人たちがとてもかっこいい、頼りになるなと思ったので、自分もそういう道に行きたいなと思っています。

2023年12月に開催された成果発表会では、2021年当時の内容にプラスしてその後に得られた研究結果も含めてポスター発表していただきました。

今日はたくさんのお話を聞かせていただきありがとうございました!
またアサヒ飲料の研究所にいつでも遊びに来てくださいね!

2人:え、いいんですか!?また来ます!

インタビュアー: 株式会社リバネス 立花智子