研究成果 2007年 レポート

Lactobacillus plantarum LbPl-4株乳酸醗酵野菜汁の免疫賦活作用

 日本果汁協会第50回果汁技術研究発表会技術賞受賞(果汁協会報.2007;583.10-19より)

 健康志向が高まる中、野菜を手軽に摂れる野菜飲料が注目されています。しかしながら野菜には独特の臭みがあり、また野菜を搾汁後殺菌すると独特の異味異臭が発生します。
 乳酸菌は様々な食品に利用されており、さらに乳酸菌の効用も古くから知られています。そこで、飲みにくい野菜飲料を乳酸醗酵することで香味を改善し、更に乳酸菌の持つ免疫賦活作用に着目し、乳酸菌の増殖によって乳酸菌の持つ免疫賦活機能を付加した野菜飲料の開発を行いました。そして野菜汁の醗酵において、嗜好面、機能面、工程面、量産化面で優位な乳酸菌 (Lactobacillus plantarum LbPl-4)を漬物から分離・選択しました。
 このような乳酸菌を用いた野菜醗酵飲料を商品化することで、今まで以上においしく、野菜自体の持つ栄養素や機能だけでなく、更に免疫賦活機能が付加された乳酸醗酵野菜飲料を提供し、野菜の摂取量が減少している中、野菜の消費拡大と健康増進に貢献できるものと期待されます。

 マウスに人参汁または醗酵人参汁を10mL/kg/dayの用量で7日間経口投与し、免疫抑制状態を誘導できるレベルの抗癌剤 5 Flurouracil (5-FU)を腹腔内に投与し、その3日後にNK細胞活性ならびに盲腸内容物中のIgA量を測定した。
醗酵人参汁投与群は人参汁投与群と比較してNK細胞活性(p=0.09)ならびに腸管のIgA産生能(p=0.083)が増強される傾向を示した(図1,2)。

図1・NK細胞活性

図1・NK細胞活性

図2・腸管IgA産生能

図2・腸管IgA産生能

 人参汁または醗酵人参汁を10mL/kg/dayの用量で14日間経口投与し、致死レベルの5-FUを腹腔内投与することで内因性の大腸菌群に感染させ、その後の生存日数を調べた。
 人参汁投与群は5-FU投与9日目ですべての個体が死亡したのに対して、醗酵人参汁投与群は40%の生存率を示した(図3)。5-FU投与後の各群の平均生存日数を算出したところ、醗酵人参汁投与群に有意な生存日数の延長効果がみられた(図4)。

図3・マウス生存率の推移

図3・マウス生存率の推移

図4・平均生存日数

図4・平均生存日数

 健常人に醗酵した人参汁を190g(低用量摂取群)または570g(高用量摂取群)・14日間摂取してもらい、摂取前後のNK細胞活性を測定した。
 各群内で変動をみたところ、NK細胞活性は低用量摂取群で7名/12名、高用量摂取群で10名/11名に上昇が認められた(図5)。摂取前のNK細胞活性を100%とした場合に、低用量摂取群で平均13%、高用量摂取群で平均43%(p<0.05水準で有意)、摂取前よりもNK細胞活性が増強された(図6)。

図5・NK細胞活性(個人別変動)

図5・NK細胞活性(個人別変動)

図6・NK細胞活性(相対変動率)

図6・NK細胞活性(相対変動率)

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