私たちの研究していること

おいしさの秘密を探る!
新しい官能評価手法


研究開発では、ヒトの感覚を使って対象物を評価する「官能評価」が一般的に取り入れられています。アサヒ飲料では、“おいしい”という感覚や味覚のヒミツに迫るために、官能評価についても研究しています。
例えば、飲み物や食べ物は、口に含んでから飲み込んだ後まで、感じられる風味が口の中で変化していきます。そのため、連続して飲み込んだ場合、1口目と2口目、そして3口目でも味の感じ方は異なります。
今回は1口飲みこんだ際に変化する風味の特徴を把握できる官能評価手法「TDS※」と、実際の飲用シーンに近づけて複数回にわたって飲み込み評価する手法「multi-sip TDS」を比べてみました。その結果、TDSでは飲み込む前後の感覚と後味、multi-sip TDSでは飲み進めていくうちに蓄積していく感覚や味などと、得られる情報が異なることが分かりました。
このような違いを知ることで、官能評価手法を効果的に選択もしくは組み合わせて、おいしい商品の開発に役立てています。
※TDS(Temporal Dominance of Sensations)

官能評価を行う人は、味覚が鋭い人?
田手研究員 I 初川研究員
官能評価を行う人は、毎年行う選定テストに合格した感覚の鋭い人です。皆さん探究心があり、プライベートで飲食店に行ったときなども、飲み物を飲む前に「どんな香りかな〜」と、つい香りを嗅いでしまう人もいるそうです(笑)。
multi-sip TDSは近年開発された手法で、TDSとの違いや通常の評価法との違いに関する知見はなく、商品開発に活かすためにもそこを知りたいと思いました。
今回の結果を応用して、“時間経過で風味の感じ方が変わる飲料”などがつくれたら楽しいですね。



果実の味わい引き出す!
フルーツ引き立て製法
『三ツ矢』ブランドの果汁入り炭酸飲料商品が、香り高いのはどうして? それは「フルーツ引き立て製法」で製造されているから。
本製法の最大の特徴は、熱処理を極力抑えたこと。
2000年代以前では、ボトルに中身液を充填しキャップを締めた後に加熱殺菌を行っており、熱に弱い香り(香気成分)が飛んでしまう傾向にありました。そこで当社は2008年より、空気中のチリや微生物のないクリーンな空間で、殺菌した中身液を事前に殺菌した容器(ボトル・キャップ)に充填することで、キャップを締めた後の加熱殺菌工程を省き、炭酸飲料中の香気成分の減少を防ぐ製法を実現しました(フルーツクオリティ製法)。
このように香りにこだわった製法を守ってきた『三ツ矢』ブランドですが、現状のフルーツクオリティ製法に満足することなく、さらに熱を抑え、香気成分の減少を防ぐ方法を模索してきました。そして、様々な検討の末、商品の品質を担保しつつも中身液の加熱殺菌温度を約15℃下げることに成功しました。
その結果、フルーツクオリティ製法より炭酸飲料中に残存する“香気成分量“がアップした「フルーツ引き立て製法」として、さらに香り高い商品をお客様に提供できるようになりました。また同時に、製造時の熱量削減による省エネルギー化やCO2排出量の削減など、環境にも優しい技術製法です。

『三ツ矢』ブランドの果汁入り炭酸飲料商品が、香り高いのはどうして? それは「フルーツ引き立て製法」で製造されているから。
本製法の最大の特徴は、熱処理を極力抑えたこと。
2000年代以前では、ボトルに中身液を充填しキャップを締めた後に加熱殺菌を行っており、熱に弱い香り(香気成分)が飛んでしまう傾向にありました。そこで当社は2008年より、空気中のチリや微生物のないクリーンな空間で、殺菌した中身液を事前に殺菌した容器(ボトル・キャップ)に充填することで、キャップを締めた後の加熱殺菌工程を省き、炭酸飲料中の香気成分の減少を防ぐ製法を実現しました(フルーツクオリティ製法)。
このように香りにこだわった製法を守ってきた『三ツ矢』ブランドですが、現状のフルーツクオリティ製法に満足することなく、さらに熱を抑え、香気成分の減少を防ぐ方法を模索してきました。そして、様々な検討の末、商品の品質を担保しつつも中身液の加熱殺菌温度を約15℃下げることに成功しました。
その結果、フルーツクオリティ製法より炭酸飲料中に残存する“香気成分量“がアップした「フルーツ引き立て製法」として、さらに香り高い商品をお客様に提供できるようになりました。また同時に、製造時の熱量削減による省エネルギー化やCO2排出量の削減など、環境にも優しい技術製法です。



フタを開けると凍り出す!?
楽しい!氷点下の炭酸飲料
新しいおいしさを生み出す研究は、“飲み方”にも及びます。
みなさんは、凍る直前のギリギリまで温度を下げた三ツ矢サイダーのフタをあけると、なんと!中身が徐々に凍っていくことがある、って知ってました!?
アサヒ飲料は「何とかこの現象をお客様の目の前で実現できないか?」と考え、「これまでにないおもしろくてしかもヒンヤリおいしい飲み方」として、この現象を「フリージング現象」と名付け、氷点下をコンセプトとしたボトル詰め炭酸飲料の開発を行いました。
そのために、まずはフリージング現象の起きるメカニズムを科学的に追求し、その結果を応用して『-5℃を安定的に維持可能な専用冷蔵庫』と、中身液が-5℃になっていることを目で確認できる『-5℃で発色するラベル』を開発。安定的に商品を供給できるシステムを発明しました。その結果、2014年には大手コンビニチェーン協力のもと、商品化(『三ツ矢フリージングサイダー』)を実現しています。



デザインボトルで
おいしさアップ!
新しい技術を使い、商品のコンセプトを容器で表現することにも挑戦しています。
『アサヒ 六条麦茶』の伝統と本格的な味わい。これを容器でも表現できないか……。麦茶と江戸切子がいずれも江戸時代に民衆へと広まったという文化的な共通点をもとに、江戸切子の代表的な吉祥文様を施したデザインボトルを開発しました。
デザインは、江戸切子の伝統工芸士・三代秀石(さんだいしゅうせき) 堀口徹氏の監修のもと、実際に作製いただいた江戸切子からおこし、ペットボトルに刻む彫の深さの検証などには最新技術のつまった3Dプリンタを活用しました。
完成したデザインボトルは、見た目に華やかなだけでなく、普通のボトルとの違いを官能評価したところ、デザインボトルの方がより好ましいと評価される結果も出ました。

ペットボトルに日本の伝統を刻む苦労
古原研究員 I 石川研究員
ペットボトルには強度を保つための横溝など、実際の江戸切子にはない制限があります。
そのため、江戸切子デザインの美しさを保ったまま、違和感なくペットボトルのデザインに落とし込むのには、繊細な調整が必要でした。
ガラスのエッジ感を再現することも難しく、3Dプリンターを活用し、最適な彫り込み方を検証しました。
これからも伝統的な文化や3Dプリンタのような新しい技術を取り入れ、五感でおいしさを感じるような商品開発に挑戦します。



乳酸菌飲料「カルピス®」
について
“人々の健康に役立つものを、日本でも創りたい”。
内モンゴルで酸乳のすばらしさに魅せられた三島海雲は、1919年に
日本初の乳酸菌飲料「カルピス®」を生みだしました。
あれからおよそ100年。私たちはその思いを「カルピス®」ブランドの商品へと受け継ぎ
乳酸菌と酵母、その発酵の持つチカラを研究し続けています。
これからも“おいしさづくり”と“発酵乳や微生物研究”のプロフェッショナルとして
「カルピス®」に秘められた可能性を広げ、製品やサービスを提供し続けます。
「カルピス®」のおいしさとは
「カルピス®菌」と独自製法がつくりだすおいしさ
およそ100年にわたりみなさまに愛されてきた「カルピス®」。そのおいしさは、脱脂した乳に乳酸菌と酵母からなる「カルピス®菌」を加えて発酵させることでつくられます。発酵の工程は、一次発酵と二次発酵の二段階に分けられます。一次発酵では乳酸菌の働きによりさわやかな酸味が生まれ、二次発酵では酵母の働きで芳醇な香りやコクなどが生まれます。
「おいしさ」を創る
「カルピス®」から生まれる風味の多様性
生乳を原料に「カルピス®菌」からつくられる「カルピス®」は、一般的な発酵乳とは異なり、乳酸菌と酵母によって生みだされる芳醇な香りやコク、やさしい甘味とさわやかな酸味などが相まって、「カルピス®」独特の複雑な風味を醸しだしています。私たちは、時代やお客さまの嗜好の変化を捉えながら、この「カルピス®」独特の風味を生かしたバラエティ豊かな商品を開発しています。
例えば、「カルピス®」フルーツシリーズでは、「カルピス®」と果汁をただ合わせるのではなく、「カルピス®」の風味とさまざまな果汁の組み合わせを研究することで、これまでにない新しいおいしさをつくりだしています。
さらに、長年の「カルピス®」の研究によって培われた、風味を評価する手法・解析などのノウハウを結集して、希釈タイプやそのまま飲める乳性飲料、炭酸飲料に至るまで、さまざまなジャンルに「カルピス®」のおいしさを展開しています。
おいしさを支える技術
「カルピス®」のおいしさを支える技術
乳たんぱく質安定化技術
乳はデリケートで、発酵させたり、果汁を加えて酸性化したりするとたんぱく質が凝集してしまい、ざらざらとした口当たりになってしまいます。「カルピス®」は、乳たんぱく質安定化技術によって滑らかな口当たりを実現しています。
おいしさを測る官能評価技術
味覚テストに合格した感度の高い社員により、おいしさに関わるさまざまな風味要素を指標に製品の評価を行っています。その結果をもとに、素材の微妙なバランスを決定し、狙いどおりの風味に仕上げていきます。
風味を守る技術
飲料は、光や熱に当たると、本来の風味が損なわれてしまいます。そこで、原料の選定やレシピの検証により風味変化を抑えたり、多層構造と特殊な素材使いで光や酸素の影響を受けにくくした容器「ピースボトル」を開発したりすることで、つくりたてのおいしさを守っています。

