研究ノート

STUDY NOTE

なるほど!がいっぱい

研究ノート

アサヒ飲料では、みなさんの健康で豊かな毎日をサポートする商品を開発するべく、日々研究に取り組んでいます。ここでは、わたしたちの研究とその成果を、わかりやすくご紹介します。

Vol.5

気持ちを科学する!
~研究開発担当者インタビュー~

「ワンダモーニングショット」飲用時の「前向きな気分」変化を最新技術で確かめたい

 最近では様々なジャンルで「健康」に注目が集まっている中、アサヒ飲料では清涼飲料を飲んだ時の"ココロの動き"にも着目し、研究を行っています。
これまで一般のお客様を対象に、朝専用缶コーヒー「ワンダ モーニングショット」(以下「モーニングショット」) の試飲アンケートをとると、「後味がスッキリしている」「前向きな気分になれる」という調査結果が出ていました。 感覚では、前向きになるということが分かっていましたが、これを客観的に証明できないものか……。

そこで今回、慶應義塾大学とアサヒ飲料で共同検証を行い、飲んだ後の気分変化について科学的アプローチから数値化する研究を実施し、「モーニングショット」を飲むと「前向きな気分」が増すという1つのデータを導き出すことに成功しました。 いったいどのような研究だったのか、また「前向きな気分」をもたらす、中味づくりとは? 担当者の声をお届けします。

  • 1 「前向きな気分」:積極的な気分やスッキリとした気分などを含んだ、一般にいうポジティブな考え方や心境のことを表現しています。
  • 2 「ココロの動き」:「飲用時、飲用後の感じ方の変化」を表しています。

INTERVIEW 01

お客様が意識していない気分の変化も理解したい

アサヒ飲料(株)研究開発戦略部小杉 亘
アサヒ飲料(株)研究開発戦略部小杉 亘

アサヒ飲料(株)
研究開発戦略部
小杉 亘

Q.気分を数値化するって、どういうこと?

例えば、お客様が何か飲んだとき、「おいしい」、「ほっとする」など「〇〇な気分」を感じたとします。 でも、「〇〇な気分」の感じ方は人それぞれで、その感じ方の大きさにも違いがあります。そこで、 人それぞれの「〇〇な気分」の大きさを客観的な “数値”で表すことができたら、より深くお客様の気分変化を理解できるのでは、と考えました。

その数値化につなげるアプローチの一つとして、信号解析の分野で長年研究を続けていらっしゃる慶應義塾大学満倉靖恵教授のご協力のもと、アンケートなどによらない、客観的な信号データを取得・組み合わせて解析し、「その人が今、実際はどんな気分なのか」を数値化することに取り組みました。

具体的には、60人以上のビジネスパーソン(30 ~ 50代)に午前中の時間帯で「モーニングショット」を飲んでもらい、飲用の前後で得られる信号データの変化を分析しました。

Q.今回の研究で「前向きな気分」を選んだ理由は?

お客様が飲み物を飲んだ時、さまざまな気分になると考えています。過去の研究では、飲み物における飲用時のストレスの数値化、爽快感の数値化等を行ってきました。

今回、「前向きな気分」を選んだのは、感覚的に缶コーヒー(特に「モーニングショット」)を飲むとポジティブな気分になれるとの思いがあり、従来のアンケート調査でも多くの方がポジティブな気分になれると回答していたからです。

そこで、アンケートではない客観的な調査手法でも“「モーニングショット」で本当に前向きになっていただけているのかな?”ということを明らかにしようとしたのです。

Q.数値でどうやって「前向きな気分」になったことが分かるの?

気持ちを数値で表すのは難しいことです。今回の研究は、慶應義塾大学の満倉靖恵教授による技術指導の下で行いました。

まずは、「前向きな気分」になっている時の信号データを集め、前向きな気分のモデル(データの形)をつくります。

「モーニングショット」を飲んだ時、このモデルに近づけば、「前向きな気分になった」と判断し、変化が見られない、もしくはモデルから遠のいた場合は「前向きな気分になれなかった」と判断します。

実験の結果、「モーニングショット」を飲用後に「前向きな気分」が増加するということが分かりました。

Q.「モーニングショット」を飲むと、どうして前向きな気分になれる?

 特に、味わいの感じ方が大きくかかわっているのではないかと考えています。
 商品開発時の味わい評価テストでは、さまざまな「味の強弱」や「味の良さ」を評価していますが、 「後味のスッキリ感」が強ければ強いほど、「後味のスッキリ感」がより良いと感じられる傾向があることが分かってきています。「モーニングショット」は、他の缶コーヒーとの比較アンケートをとると、「後味のスッキリ感」を高く評価いただいており、後味よく飲めるということがポジティブな気分=前向きな気分に影響を与えているのではないかと考えています。

飲用時の測定では缶デザインをブラインドにして実施

飲料は小さなお子さんからご年配の方までたくさんの方が手に取る商品であり、それぞれが感じていることはさまざまです。

今回のような科学的アプローチによって、従来のアンケートでは分からないお客様の気持ちを明らかにしていきたいと考えています。
 そしてその結果から、 お客様が本能的に欲しているもの(望んでいる商品)の本質を見極めて商品に生かすことで、少しでもお客様の日常に寄り添い、より喜んでいただける商品作りにつなげられればと思っています。

INTERVIEW 02

美味しいものを、もっと美味しく

アサヒ飲料(株)商品開発研究所 佐藤 弘明
アサヒ飲料(株)商品開発研究所 佐藤 弘明

アサヒ飲料(株)
商品開発研究所
佐藤 弘明

Q.「コーヒー感」と「後味のスッキリ感」をさらに高める新製法とは?

 「モーニングショット」の魅力は、スッと飲めて、キリッとした苦みがあり、後味がスッキリとしていることです。この魅力をさらに高めるにはどうすればいいのかを考え、その結果、「モーニングクオリティ製法」(特許出願中)が誕生しました。

「モーニングクオリティ製法」は、濃縮したコーヒー成分を加え、ミルク分を超微粒子化する製法で、コーヒー感の強化と後味のスッキリ感の向上につながります。

2017年9月のリニューアルよりこの製法を取り入れ、更に香り立ちも見直すことで、コーヒー感の良さ、苦みの良さがより一層引き立つ味に仕立てました。

Q.味作りの難しさは?

私たちの部署では、原材料の評価や、賞味期限までの味や成分変化といった保存中の安定性を調べることはもちろん、もっと美味しくできないかといった観点で、原料配合や製法を日々検討しています。お客様の味覚の好みは絶えず変化しているので、ブランドの味を守るだけでなく、時代に合わせて改良していく必要があるのです。

そうした中、味作りの難しさは、何と言っても「モーニングショット」が「すでにかなり美味しい」ということです(笑)。
多くのお客様に評価いただいている「モーニングショット」の味を継承しつつ、もっと好きになってもらえる味にするのが非常に難しいところです。
 甘み、苦みなど味の1つの項目が良くなっても、 全体のバランスが「モーニングショット」らしくまとまっていなければダメで、そのバランスをとるのにとにかく苦労しました。

実際、2017年9月のリニューアルでは、番号を付けたもの(一定レベルの味の基準をクリアしたもの)を約50種、今春のリニューアルでは約70種も作り、しぼっていきましたが、途中の段階では「今とあまり変わらないね」という評価もありました。

Q.人によって味の感覚は違うが、何を基準にするのか?

大きなリニューアルや、新商品開発時には、ターゲットとなるお客様に飲んでいただく市場調査をかけています。その結果を見て、自社で味をマッピングし、それをもとに味を決めています。そのため、自分の感覚をできるだけ今の市場(お客様)の感覚に合わせるように常日頃からアンテナを高く張り巡らせています。

そのおかげ(?)もあり、今回のリニューアルによって、コーヒー香の良さと強さ、苦みの良さ、強さ、後に残らないスッキリとしたミルクの感じで、おいしくいただける商品に仕上がったと感じています。まさに、前向きな朝の目覚めにふさわしい一缶です。

今後も「もっと美味しいモーニングショット」を目指し、新しい手法や原料、豆の産地、焙煎度合いなどの研究を重ねていきます。

INTERVIEW 03

私たちのチャレンジを感じていただきたい

アサヒ飲料(株)マーケティング一部 橋本 秀紀
アサヒ飲料(株)マーケティング一部 橋本 秀紀

アサヒ飲料(株)
マーケティング一部
橋本 秀紀

Q.ワンダが「朝」に注目している理由は?

「モーニングショット」は2002年に発売しました。当時、ビジネスパーソンのコーヒーを飲む習慣を調査した結果、朝の通勤途中や朝のデスクなど、朝によく飲むという飲用実態が明らかになりました。

そこで「朝」というコンセプトを徹底的に追求した商品を作ることにしました。さらに、朝にコーヒーを飲むのは「1本飲んで、さあやるぞ!」という前向きな気分になりたいからではないかと仮説をたて、そこから「気付けの一杯」というキーワードを導き出し、「朝」×「気付けの一杯」で、「モーニングショット」と名付けました。

Q.今春のリニューアルのコンセプトは?

「カシュッ」と空けるプルトップの缶コーヒー市場は、コーヒー市場の中で7、8割を占めていますが、年々縮小しています。その背景として、キャップを占めて持ち運べるボトル缶タイプやペットボトルタイプの台頭があります。

確かに、プルトップの缶コーヒーは利便性には劣っていますが、一方で、開けて飲み切れる良さがあります。この良さは、「モーニングショット」の魅力であるショット感と合致していると改めて認識し、この魅力を強くしました。

今春から、朝の前向きな気分を応援する「モーニングショット」、夕方のもうひと頑張りの「金の微糖」と分けてPRしていきます。

Q.新製法である「モーニングクオリティ製法」を採用した
今回のリニューアル。苦労したことは?

開発当初からコーヒー感の強化と、後味のすっきり感を出すための製法を考えたい、というイメージができていましたので、それをもとに開発チームに「モーニングクオリティ製法」を実現してもらいました。

実は、今回、「モーニングクオリティ製法」以外にも、味作りのアイデアがありました。しかし、チャレンジしたものの量産化までつなげることができなかったりと、大きな壁に何度もぶつかりました。そうした試行錯誤の末に生まれたのが、この「モーニングクオリティ製法」でした。

なお、今回パッケージにもこだわり、エンボス(凸凹)加工しているWONDAのブランドロゴがより目立つようにしました。エンボスを窓に見立て、窓越しに朝日が昇っていくようなイメージにデザインしています。

Q.2018年のコーヒーの売り場はどのように変わる?

2018年、缶コーヒーの市場は激動すると、ひしひしと感じています。今までの延長で物事を考え、開発を進めていた ら、取り残されてしまうでしょう。また、一方で 働き方改革による飲用シーンの変化など、日本のコーヒー市場はまだまだ伸びる可能性があるとも思っています。今後も多様なニーズをかなえられる商品づくりにチャレンジしていきます。

RESEARCH SUMMARY

研究のまとめ

ワンダには、「前向き」というブランドメッセージがあります。

そして、「モーニングショット」には今まで開発に関わってきた多くの開発者によるチャレンジがたくさん詰まっています。是非、私たちのチャレンジを飲んで感じてみてください!

注)組織名は掲載時(2018年4月)のものです

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