研究ノート

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なるほど!がいっぱい

研究ノート

アサヒ飲料では、みなさんの健康で豊かな毎日をサポートする商品を開発するべく、日々研究に取り組んでいます。ここでは、わたしたちの研究とその成果を、わかりやすくご紹介します。

Vol.7

100周年を迎える「カルピス」を科学する!
~研究開発担当者インタビュー~

「カルピス」、
想いをつないできた100年と、
これからの100年

「カルピス」は今年(2019年)の7月7日、100周年を迎えます。「カルピス」が発売されたのは、大正8年(1919年)のこと。お母さんやお父さんだけでなく、おばあちゃんやおじいちゃん、もしかすると、ひいおばあちゃんやひいおじいちゃんも、子どものころから飲んでいるかもしれません。
 数多の飲料がある中で、100年間変わらず、「カルピス」を販売し続けていられているのは、お客様に「愛され続けてきたから」だと、思っています。
 そこで、「カルピス」がお客様に愛され続けてこられたのはなぜか? その理由を科学しました。


INTERVIEW 01

大切な人に「カルピス」をつくると、
「大切な人を想う“気持ち(愛情)”が育まれる」

アサヒ飲料(株)研究開発戦略部 小杉 亘
アサヒ飲料(株)研究開発戦略部 小杉 亘

アサヒ飲料(株)
研究開発戦略部
小杉 亘

Q.「カルピス」と「大切な人を想う“気持ち(愛情)”」の関係を調べた理由は?

水などで好みの濃さに薄めて飲む、希釈タイプの「カルピス」(以下、「カルピス」)は、おかげさまでご愛顧いただき100年になります。この「カルピス」は、単においしさだけから愛され続けてきたのではなく、「カルピス」を水などで割って飲むという行為(以下、「カルピス」づくり)にも、何か特別な価値を感じていただいてきたからだと思っています。
 それは何かを考え、「カルピス」を通じて、“想い”もつながってきたのではないかという考えにいたりました。

 一方、当社ではこれまでに、「カルピス」がもたらすココロへの影響について研究をしてきました。その中の一つに、親子で「カルピス」づくりをすることで、親子間のコミュニケーションが生まれ、子どものすこやかなココロの成長につながることが分かってきています。

 そこで、今回、「カルピス」づくりがもたらす、ココロへの影響について、生体反応から調べてみることにしました。

 親子で「カルピス」づくり
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Q.どのようなアプローチで「カルピス」づくりの愛情への影響を調べたのか?

今回、慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科 満倉靖恵教授の協力のもと、子どもが、大切な人(親)のために「カルピス」づくりをすることを通じて、「大切な人を想う“気持ち(愛情)”」にどのような影響があるのかを検証しました。
 5〜6歳の子どもと、その親御さんに参加していただき、子どもが自分のために「カルピス」をつくった時と、お母さんやお父さんのためにつくった時とでは、愛情ホルモンや絆ホルモンとも呼ばれる「オキシトシン」の分泌量に違いがあるのかを調べました。

結果は、お母さんやお父さんのためにつくった時の方が、オキシトシンが多く分泌されることが分かりました。
 この結果から子ども(未就学児)が、大切な人(親)のために「カルピス」づくりをするという一連の行為を通じて、「大切な人を想う“気持ち(愛情)”」が育まれることが示唆されました。おいしさだけでなく、ココロにも関わりがある、これが、「カルピス」が100年の間愛され続けてきた、一つの要因だと思っています。

 共同研究内容と結果について
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Q.この結果を受けて、これから100年にかけての想いは?

今回の研究によって、「カルピス」づくりが、「大切な人を想う“気持ち(愛情)”」を育むことが、分かってきました。お客様に「カルピス」の新たな一面を、またひとつお伝えできたのではないかなと思います。
 今回の研究結果を知っていただくことで、昔、お母さんやお父さん、おじいちゃんやおばあちゃん、兄弟・姉妹など大切な人と、一緒に「カルピス」づくりをした記憶を思い出してもらい、それが再び「カルピス」を手に取る機会につながるとうれしいです。

 「カルピス」には、まだ明らかになっていない新たな発見が、たくさんあると思っています。これからの100年も、“ココロの健康”や“大切な人への想い”といったキーワードをもとに、「カルピス」の知られざる魅力を一つ一つ明らかにしていきたいです。

INTERVIEW 02

100年前から継ぎ足して守ってきた、
思い出と「カルピス」の味

アサヒ飲料(株)商品開発研究所 福田 紗弥香
アサヒ飲料(株)商品開発研究所 福田 紗弥香

アサヒ飲料(株)
商品開発研究所
福田 紗弥香

Q.100年前の「カルピス」の味と今の味は、同じ?

まず、「カルピス」がどうやってつくられるのかを簡潔に説明します。しぼりたての牛の生乳から、脂肪だけを取り除いたものに、「カルピス」の乳酸菌や酵母が入った原液(スターター)を入れます。乳酸菌による一次発酵、酵母による二次発酵を経て、発酵乳がつくられます。この発酵乳に、砂糖、香料、大豆多糖類で風味を整えて、「カルピス」が完成します。

一次発酵乳
二次発酵乳

原液(スターター)は、「カルピス」の創業当時である1919年から原料を継ぎ足しながら受け継いできたものです。基本的な製造方法は変えずに、1919年当初の味(特に「カルピス」ならではの香りや風味)を大切にしてきました。ただ、その中でも時代に合わせた風味の微調整を、歴代の研究者は続けてきたのです。その結果、100年もの間、愛されて、今も100年前の「カルピス」とほぼ同じ味を、皆さんに楽しんでいただくことができています。

Q.「カルピス」の味を守り続けてきた研究者の想いは?

100歳を超える祖母に、戦時中に「カルピス」を飲んでいたという話を聞いたことがあります。私は小さいころ、親や兄弟と「カルピス」づくりをした思い出がありますし、お客様もそうだと思います。「カルピス」は、思い出とセットになっている飲料なんです。
 大切な思い出を色あせないようにするためにも、「安全」や「安心」を常に意識しつつ、「いつ飲んでも思い出の中のおいしさがある」という価値を大切にしていきたいという想いがあります。

「カルピス」ならではのおいしさや安全、安心へのこだわりは、ギフト商品、RTD商品(ふたを開けてすぐにそのまま飲める飲料)、機能性のある乳酸菌飲料に対しても同様です。中でもフルーツ味のタイプは、“「カルピス」らしさ”を出すのに苦労しています。お客様が想像する「カルピス」の味と、フルーツの味がバランスよく組み立てられているか、官能評価などで厳しくチェックしています。「カルピス」らしさにこだわるために、専用の発酵乳をつくるところから始めることもあります。

Q.これからの100年に向けて開発していきたい「カルピス」は?

「カルピス」の独特な香りは、「酵母による二次発酵の影響」が強いのですが、近年、この「二次発酵の香り」が持つ良い効果にも注目しています。この香りには、リラックス効果が期待できることが分かってきています。おいしさに加えて、ココロやカラダへの良い影響も意識しながら、新しい「カルピス」をつくっていきたいです。
 現状では、「カルピス」は子どもの飲みものというイメージが強いですが、もっと多くの大人にも飲んでいただきたいと思っています。そこで、これからの100年に向けて、リッチなフルーツフレーバーを組み合わせた、大人の贅沢な時間のそばにあるような「カルピス」や、メタボ対策への効果が期待できるような、大人の健康面をサポートするような「カルピス」の開発などにも、力を入れていきたいです。

「カルピス」トリビア

「カルピス」は、水で薄めて飲む以外にも色々な使い方があり、調味料として使っている方も多くいます。例えば、サバの味噌煮に入れると味がまろやかになります。カレーに加えたり、肉の漬け込み液などに使ったりしている方もいるようです。

INTERVIEW 03

「カルピス」の生みの親・三島海雲の想いを、
次の100年へ

アサヒ飲料(株)マーケティング二部 佐々木 健
アサヒ飲料(株)マーケティング二部 佐々木 健

アサヒ飲料(株)
マーケティング二部
佐々木 健

Q.「カルピス」のルーツとは?

「カルピス」のルーツは内モンゴルにあります。中国で雑貨商の事業を行っていた三島海雲(かいうん)は、仕事で内モンゴルに行き、そこで出合った酸乳の健康への効果を体験し、製法を日本に持ち帰って改良してつくったのが「カルピス」です。
 2018年の夏、100周年を迎えるにあたって、「カルピス」のルーツをたどる旅をしました。北京から内モンゴルまでの道中は、車の移動でも厳しいものがありました。海雲は、当時、馬で移動しており、体調を崩してしまったと聞いています。弱ったカラダに、酸乳が染みわたり、みるみるうちに体調が回復したそうです。この実体験もあり、海雲の「日本の人々に、健康で幸せになってほしい」という想いから「カルピス」が生まれたのです。

 「カルピス」の歴史
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居庸関
(中国とモンゴルを結ぶ関所)

内モンゴルにて

Q.100年後も変わらない「カルピス」の基本コンセプトは?

海雲の想いは、今も引き継がれています。「カルピス」は、①おいしいこと ②滋養になること ③安心できること ④経済的であること。この4つの本質価値を守りながら、挑戦を続けてきました。この100年つないできた価値を、次の100年につないでいきたいと考えています。
 そのためには、「カルピス」の価値をお客様に伝えていく活動が大切になります。2008年からその活動に取り組んでおり、「『カルピス』=乳酸菌=カラダにいい」というイメージはかなり伝わっていますが、「酵母」「発酵」というイメージは、あまり知られておりません。「カルピス」と「酵母」「発酵」のイメージをつなげるような活動にも力を入れていきます。

Q.100周年を迎える2019年の取り組みは?

「カルピス」は、情緒的なイメージにも支えられている飲料です。お中元で届く「カルピス」のギフトのワクワク感、病気の時に親がつくって飲ませてくれた愛情を感じる思い出など、人が人を想う時間に寄り添ってきた飲みものです。この価値を未来につないでいきたいと考えています。
 そこで、「人と人との想いをつなぐ」プロモーションとして、人が人を想う象徴として存在する“記念日”を応援する活動1や、「カルピス」と絵本で地域と世代をつなぐ 「カルピス」絵本の家プロジェクト2などを展開します。

“記念日”とは『ひな祭り』や『七夕』などの催事や、結婚記念日や子どもの○○記念日といったパーソナルなものまで、さまざまな記念日をかたちだけのものではなく、大切な人に想いを伝えられるような記念日にしていきたいという想いもあります。
 一方で、「カルピス」の機能性「発酵」を伝えるプロモーションとして、2018年から始めた「『CALPIS』発酵BLEND PROJECT」3を、さらに盛り上げていきます。今年は、全国9カ所の地域に根差した発酵食品と「カルピス」のコラボ商品をたくさん、お客様にお届けできると思います。期待していてください。

1 記念日を応援する活動
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2「カルピス」絵本の家プロジェクト
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3「CALPIS」発酵BLEND PROJECT
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「カルピス」トリビア

「カルピス」のルーツをたどる旅では、実際に内モンゴルのゲル(移動式住居)を訪れ、酸乳を飲みました。「カルピス」をつくる過程の一次発酵した酸乳のような強い酸味や風味がありました。しゃきっとする味です(笑)

「カルピス」のパッケージの絵柄である「水玉」は、重なっていたり、かけていたりするものがありません。それは、「カルピス」の水玉は、夜空に浮かぶ天の川をイメージしたものだからです。
歴代の「カルピス」のキャッチコピーとして有名な「初恋の味」は、海雲の後輩が考えたといわれています。海雲は一度、それを反対しましたが、「初恋は、とても純粋で美しいものだ」という返しがあり、採用となったそうです。


「カルピス」の広告
(1949年)

“初恋の味”
キャッチフレーズを
初めて使用
(1922年)

RESEARCH SUMMARY

研究のまとめ

2019年7月7日、100周年を迎える「カルピス」。その価値は、おいしさやココロやカラダへの良い効果だけでなく、「人と人の愛情や絆のそばにあること」にもありました。
これからも、お客様に愛され続けられるよう、愛情や絆が深められる瞬間に選んでいただけるよう「カルピス」を研究・開発し続けていきます。

注)組織名、商品名、商品画像は掲載時(2019年3月)のものです

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