コミュニケーションの発達支援に関する研究

私たちは、子どもたちのコミュニケーション能力を育てる発達支援の分野において、「カルピス」づくりをツールとして用いたさまざまな研究活動を応援しています。

7ステップの発達支援プログラム

「カルピス」をつくる体験は、相手の好みに応じて濃さを調整するなど、他者の側に立って感情や意向を読むことが求められ、社会的な能力を発達させる経験として機能する可能性が考えられます。実践女子大学の⻑崎勤先生は、「カルピス」づくりを年齢に応じた発達段階と組み合わせ、下記のような7ステップの発達支援プログラムを考案しています。

ステップ 発達水準 目的
1〜2歳 つくってもらって楽しむ/自分でつくって楽しむ[自己に向かった目標の共有]
2〜3歳 相手につくってあげて楽しむ
相手の要望に応じて、量を調整する(初期調整活動)
[他者に向かった目標の共有]
2〜3歳 自己の好み(欲求・味覚)を表す
[自己意図への関心]
2〜3歳 他者の好み(欲求・味覚)に関心を持つ
  • 指導者が母親に好みをたずねるのを注目する
[他者意図への関心]
3〜4歳 他者の好み(欲求・味覚)をたずねる
  • 非言語でたずねる
  • 「(白とぶどう)どっち?」と言語でたずねる
[他者意図の理解]
5〜6歳 決められた役割に従って小集団でカフェをする
[協同活動(受動)]
7〜9歳 小集団でプランし、役割を決めて、カフェを楽しむ
[協同活動(能動)]

実践女子大学とS君の取り組み事例

⻑崎先生の研究室では、スペシャルニーズのあるS君と「包括的発達支援プログラム」に取り組み、2015年から「カルピス」づくりを通したコミュニケーションの発達支援を導入しています。S君は、「自分につくる」、「お母さんにつくってあげる」、「お母さんに好きな『カルピス』をたずねる」と着実に発達していき、2017年には「お客さんに好きな『カルピス』をたずねてつくってあげる」ことができるようになりました。そこで、同年11月の学園祭において、S君を店⻑に迎えた「なかよしカフェ」を開催。S君は約40分間にわたり、お客さんの要望に合わせた「カルピス」づくりに挑戦しました。

  • 「スペシャル(その人らしさ、個性)」+「ニーズ(その人にとっての必要な支援)」ここでは発達がゆるやかなことを指します。

専門家に聞いてみました

「カルピス」をつくる体験には、知的能力、社会性などの発達を促す活動がギュッと詰まっています。「カルピス」をつくる体験を子どもと、特にスペシャル・ニーズのある子どもたちと大人が丁寧に行うことで、コミュニケーションの力を豊かに育てることができます。
人と関わり、共同行為することの楽しさを知った子どもは、様々な場面でもアクティブに学んでゆくことができるようになります。こんな目的で、「カルピス」づくりによるコミュニケーションの発達支援プログラムは開発されました。みなさんも是非お試しください。

⻑崎 勤 先生
<プロフィール>
実践女子大学 生活科学部生活文化学科 教授。
専門は教育心理学、発達支援学。