お茶の香りのお寺

中国のお寺では、3種類のお茶を用意しているといいます。その3つとは、上等じょうとう神仏用しんぶつよう中等ちゅうとう客用きゃくよう下等かとう=自家用のお茶のことを指しています。中国では、お茶とお寺が非常に強いつながりをもっており、寺院でなければ味わえない美味しい「寺院茶じいんちゃ」というものもあるそうです。 そのつながりは、日本へのお茶の伝来からも伺えます。日本にお茶の習慣しゅうかんを持ち帰ったのは、中国の寺院に留学していた僧の栄西えいさいでした。彼は、浙江省せっこうしょうにある径山寺けいざんじという寺に2回参り、「茶道」の元となったといわれる「点茶法」を学び、お茶の心得を習得したと言われています。
この「径山寺けいざんじ」という寺は、禅寺ぜんでらとして歴史が古く、そのうえ、「香林禅寺こうりんぜんじ」といわれるほど、かんばしいお茶の香りがただよっていた「名物寺」だったそうです。また、この地がお茶の産地でもあることから、径山寺けいざんじにてお茶やお茶に関する行事が発達したとも言われています。というわけで、禅僧ぜんそうのこの寺へのあこがれは強く、たくさんの危険をのりこえてこの寺へ参ってやってきた、という記録もあります。 「危険をおかしてでも、お茶に出会いたい」という切実な願いが、今日のお茶文化の発展につながっているとすれば、昔の人に感謝してもし足りないくらいですね。