uruoi life

キモチとカラダがうるおう生活のヒントをインタビュー

萩野公介

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萩野さんの4つのuruoiメソッド萩野さんの4つのuruoiメソッド

  • 01 銭湯での交代浴で血流を活性化!
  • 02 ストレッチで体を安定させる
  • 03 音楽やアートの感動を力に
  • 04 スポーツの魅力を伝える幸福

2021年の東京五輪を最後に、惜しまれつつも現役を引退した萩野公介さん。
翌年には日本体育大学大学院に進学するなどセカンドキャリアに邁進中。
確かな実績と明晰な思考で新たな道を開きつづけている萩野さんに、
メンタル面をととのえる“うるおい”の秘訣を伺います。

03 吹奏楽や美術館で感動するドラマを摂取

萩野公介

現在は大学院での研究やメディアでの解説者としての仕事など、お忙しい日々だと思います。メンタル面で心がけていることはありますか?
心身ともに癒すという意味では、やはり睡眠の充実度は気にします。僕は睡眠前、必ずスマホやパソコンから離れて、お線香を焚くようにしています。ろうそくからお線香に火を移すようにしているのですが、その火の動きを見ているとなんとなく落ち着くんですよね。白檀(びゃくだん)の香りが好きで、とてもリラックスできる。すっかりこの習慣が身についた今では、「もう寝る時間だよ」と体に合図を送る意味合いも強くなっていて、すぐに寝つけるようになっています。お線香の匂いが苦手な方でも、睡眠前は読書をするとか、川のせせらぎ音を聞くとか、火の揺らぎを見られる暖炉の映像なんかもいいそうですね。何か体との約束事を作ると、入眠しやすくなると思います。
参考になります! 人間関係や仕事上ではどんなことを意識していますか?
もう本当に嫌だと思ったら、一旦距離を置くことがベストだと思っています。とはいえ、現代社会でそんな簡単に割り切れることは少ないので(笑)。苦手な人に関しては、こちらから積極的にアクションはしないんですけど、1つでもいいところを見つけられるよう心がけています。仕事の場合は、自分のしんどさに合わせて無理をせず、その日のゴールを決めることが大切だと思います。大学院での研究も同じで、「目標はこれぐらいやるはずだったけど、今日はその3/4までやったら早めに切り上げ、明日に回そう」ということはよくあります。忙しさに追われて疲れたら、それこそ銭湯みたいな“非日常”を楽しむ休日を作ることで、リフレッシュします。

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吹奏楽コンクールの会場 / 撮影:萩野さん

銭湯以外にも、楽しめる“非日常”ってありますか?
あまりアスリート仲間に同じ趣味の人がいなくて寂しいんですが(笑)、最近アニメの影響で吹奏楽のコンクールに行くようになりました。僕からしたら別世界なんですね! 学生さんたちが息を合わせてひとつの音楽を作るっていうのがすごく素敵で、刺激的でした。あと若いころから絵画が好きで、よく美術館にもいきます。先日は印象派のモネを見に行きましたし、日本美術も好みです。アートのいいところって、アーティストがどういう人生を歩んできて、そのうえでこの1枚のキャンバスに何を伝えようとしたのか、そのドラマを感じられることだと思います。吹奏楽もそうですけど、そういうストーリーが見える瞬間が好きで感動を覚えるんですよね。

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※画像はイメージです

uruoi POINT
白檀(びゃくだん)の香りが体への就寝の合図
芸術からドラマを感じとる“非日常”を作る

04 萩野公介の人生哲学を解説のなかで実現する

萩野公介

現役を引退されてからも競泳の観戦は欠かさないとのことですが、今年のパリ五輪で期待の選手はいらっしゃいますか?
僕がかつて金メダルをとった400m個人メドレーでは、フランスのレオン・マルシャン選手が注目されています。2008年から破られていなかった世界記録を去年の世界水泳選手権で大幅に更新したんです。しかもこの15年前の世界記録を保持していたマイケル・フェルプス選手と同じコーチが教えていた、というドラマもあり! 日本の選手では、同世代で切磋琢磨してきた瀬戸大也選手にも頑張ってもらいたいですし、2023年のジャパンオープンで活躍した18歳の松下知之選手にも期待しています。すごく泳ぎのセンスがあるうえに、僕と同じく栃木出身、東洋大学進学ということもあって応援しています。
それだけ注目の選手が多いと、解説のお仕事もさぞ楽しまれているのではないでしょうか?
確かに、自分の好きなものを他人に伝えるというのは好きですね。ただ大多数に向けて発信するメディアでの解説は、それ相応の難しさを感じます。日本語ってたくさんの語彙があるし、聞く人の性格や状況によって受け取られ方が変わるワードもあるじゃないですか?だから言葉選びは慎重にしています。それに自分が間違った情報を流すことは、未来あるジュニアスイマーを潰すことになりかねない。絶対にあってはならないことだと思っているので、日々主要なレースの記録はデータ化していますし、嫌われてもいいからという思いで多くの解説者さんに選手の情報をLINEで送っています(笑)。

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萩野さんにとって、スポーツの魅力を伝えるモチベーションはどこから?
少し仰々しいかもしれませんが、自分のなかに「人間は幸せになるために生まれてきた」という人生哲学があって。僕は水泳のいいところやワクワクするところをいっぱい知っている人間なので、それをスポーツに詳しくない人とも共有して、幸せになる瞬間を1秒でも感じてもらいたいんですね。スポーツって、選手の人生にも、その1つのゲームのなかにもたくさんのドラマが生まれている。このことを多くの人にも楽しんでもらいたいし、それが伝えられることが僕の幸せにも繋がっています。

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uruoi POINT
スポーツで幸せになる瞬間を感じる
想いが伝わることが自分にとっても幸福

Profile

萩野公介

萩野公介はぎのこうすけ

1994年、栃木県小山市生まれ。趣味でマタニティスイミングを行なっていた母の影響で生後6ヶ月からプールに親しむ。作新学院高等学校に進学した2010年の日本選手権水泳競技大会の男子400m個人メドレーで2位に。2012年のロンドン五輪では、わずか18歳にして400m個人メドレーで銅メダルを獲得。その後も2016年のリオデジャネイロ五輪の400m個人メドレーで日本人初となる金メダルを獲得。続く800mフリーリレー、200m個人メドレーでは銀メダルも手にした。その功績から同年11月には紫綬褒章を受章。東京五輪終了後の2021年 10月 24日に現役引退を表明。現在はテレビでの競泳解説を行うほか、ラジオ、講演会などでスポーツの魅力を伝えるスポーツジェネラリストとして活動をしながら、日本体育大学大学院でスポーツ人類学を専攻。

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